TSUKIGIみつまたは機械に頼らず、すべての工程を手作業で行っています。
一日では到底終わらない制作過程を取材させていただきました。一つひとつに時間がかかりますが、このこだわりが一本ごとの温かな風合いや心配りが感じられる商品に仕上げる大きな秘密になっているのでしょう。
目次
TSUKIGIみつまたが出来上がるまで
みつまたの商品化に向け試行錯誤をしている時、販売されているみつまたに、品質や形に大きなばらつきがあることに気が付きました。個性的な枝の形も、折れていたり割れてしまっては意味がありません。
みつまた本来の美しさを活かすことを考えて、やっとたどり着いたのが、すべての工程を手作業で行うこと。想像を超える時間と労力が掛かりますが、誰かの手に届くことを思って生まれた、譲れないこだわりがいくつもあります。
1、 みつまたの収穫
TSUKIGIみつまたが生産されている、槻木集落があるのは、熊本県の山里の中。
みつまたは、勾配の激しい山の中に自生をしています。職人が山に入り、サイズや状態を確認し、一本ずつ根元から伐採を行っています。
植物は、伐採した瞬間から腐食が始まってしまいます。そのため、伐採した直後から保管方法への注意が必須。徹底した温度・湿度の管理を行っています。
2、靭皮(じんぴ)繊維を剥ぐ
火加減を調節しながら、伐採した枝を4時間ほど蒸していきます。
すると、枝の周りの靭皮繊維が手でも剥がせるくらい浮いてくるのです。吊るした枝から靭皮繊維を剥がし、白枝と靭皮繊維に分けていきます。
この枝は「TSUKIGIみつまた」に、皮はさらに表面の黒皮を剥ぎ、和紙の材料へと変化します。
3、脱色加工
皮を剥かれた白枝は、カビの発生を防ぐために、脱色液に2日間浸します。
そこからさらに、2日間ほどよく澄んだ川の湧き水にさらします。この工程により、脱色剤特有のにおいや成分がしっかり抜け、インテリアとして飾ったり、ディフューザーに使用したりと、みつまたの楽しみ方が広がります。
脱色液に長い時間浸したり、強い薬品を使えば、枝は真っ白に仕上がりますが、TSUKIGIみつまたは木が持つ本来の白さへのこだわりがあります。
大自然の中で育ったみつまたは、枝の大きさも太さもバラバラ。それぞれ、色の抜け方も異なるのは当たり前です。そのため、浸したみつまたを何度も確認しながら、時間を微調整していきます。
この丁寧な確認作業により、美しいナチュラルホワイトに仕上がります。
4、天日干しでしっかり乾かす
TSUKIGIみつまたのボリュームはこの工程が肝に。
乾燥機を使わず、太陽の下でじっくりと水分を蒸発させていきます。
水分を含んでいると、木材や枝は、腐朽菌(ふきゅうきん)により腐っていきます。
人工乾燥機や高温機を使用して、乾燥させると短時間で大量に生産できますが、急な環境の変化により、大きなひび割れに繋がったり、枝の脆さを引き起こす要因になります。
また、不自然な形に仕上がるなど、見た目が悪くなってしまうことも。
日の光をたっぷり浴び、ゆっくり乾燥していくことで、自然の力を存分に受けた美しい形と白枝が出来上がります。
5、職人による剪定
数十年みつまたと向き合ってきた職人が、より美しいみつまたを剪定しています。
サイズ、ボリューム、形状、ひび割れ、枝先まで、「TSUKIGIみつまた」の誇りを持ち、ブランドを守るため、1本1本丁寧に検品していきます。
何日もかけてできたみつまたでも、一切妥協せず質の悪いものは発送を行いません。
6、TSUKIGIみつまたは産地直送
検品で合格したみつまたが「TSUKIGIみつまた」ブランドとして出荷されます。
一般的な花の流通では生産者から生花卸売/生花店と仲介業者が挟んでいます。食品のようにセリに出されて入札されたものがお客様に届くという仕組みです。
細い枝が絡まりあい折れやすいみつまたは、一般的な販路で出荷を行うと、産地から良品質の状態で出荷されても店頭で見かけるときには、枝先が折れていることがあります。
「こだわって仕上げたものだから、良品質なままでお客様へ届けたい」という思いが、今回このサイトを立ち上げたきっかけです。
TSUKIGIみつまたでは産地直送を行い、こだわりぬいた高品質のみつまたをそのままお届けしています。
純国産の誇りを届ける
“自分の目で確認しながら人の手で進めていく”、TSUKIGIみつまたが出来上がるまでに、たくさんの時間とこだわりが詰まっています。
受け取る人が、商品のストーリーを知って愛着が湧いたり、もっと特別なものになったり。それを想像して、職人はすべての工程を丁寧に作り上げていく。
日本のものづくりには相手を思い合う、そんな橋渡しのようなストーリーが詰まっているのも魅力のひとつです。
純国産の「TSUKIGIみつまた」を通して、地域の暮らしや人の温かさ、作り手の想いを覗いてみてもらえたら嬉しいです。