毎日の生活の中で一番触れる機会が多いものと言っても過言ではないのが、紙幣です。そんなお札が、何を原料として製造されているかはご存知でしょうか?
実は紙幣は「ミツマタ」と呼ばれる植物を原料として作られています。
日本では古くから活用され、愛されてきたミツマタ。今回はそんなミツマタの紙幣の原料としての特徴を解説していきます。
天然・純国産の枝ものインテリア「TSUKIGIみつまた」
熊本県南部の限界集落で生まれた「TSUKIGIみつまた」。和紙の原料である上質なみつまたの枝を、職人が丁寧に、精巧に加工することで作り上げる、枝ものインテリアです。
染色、着色等は行わず枝本来の色を活かしたナチュラルホワイトの色合いと、名前の通り3本に分かれて広がる繊細な細枝の重なり合いが、お部屋に上品な風合いをプラスします。
目次
お札の原料になる「ミツマタ」ってなに?
そもそも、お札の原料として使われる「ミツマタ」とはどんなものなのでしょうか?
ミツマタ(三椏)は、中国を原産国とする落葉低木の常緑樹です。枝が3本に分かれて伸びていることから「ミツマタ」という名前が付けられました。3月から4月の短い期間に、黄色の可愛らしい花を付けることでも有名です。
ミツマタは山の中に自生しているものが多く、いくつかの山では、数百、数千ものミツマタが密集して成長する「ミツマタ群生地」が確認されています。開花シーズンのミツマタ群生地では無数の黄色い花がまるで妖精のような見た目をして広がっており、その幻想的な美しさを一目見ようと毎年多くの観光客が訪れています。
また、最近ではミツマタの枝をインテリアとして活用する人も増えてきています。ミツマタの皮を剥ぎ、加工することでドライフラワーにした商品は非常に人気で、InstagramやYouTubeでよく紹介されています。
日本の紙幣に使われるミツマタ
上記でミツマタの特徴についていくつか解説しましたが、やはりミツマタの一番大きな特徴は「紙幣の原料であること」でしょう。
紙幣の原料は「アバカ(マニラ麻)」、そして「ミツマタ」です。ここでは紙幣の原料として活用されるミツマタの特徴を詳しく解説していきます。
ミツマタを紙幣の原料として使う理由
ミツマタを紙幣の原料として活用する理由を以下の3つにまとめました。それぞれ解説していきます。
丈夫で破れにくい
これがミツマタが紙幣の原料として活用される一番の理由です。
ミツマタの繊維は柔軟かつ非常に丈夫で、耐久性がとても高いです。お札は何度も折られ、レジの機械に通され、時には水に濡れてしまうこともあります。ですが、この耐久性のおかげでそう簡単に破れることはありません。
お札をパンツのポケットに入れたまま洗濯してしまった経験がある人も、お札がビリビリに破れてしまうことはなかったと思います。この耐久性はミツマタの強靭な繊維に起因しています。
独特な手触り
お札には日常的に触れる機会があるため気が付いていない人も多いともいますが、お札は一般的な紙(パルプ紙)とは異なる触り心地があります。
これは、紛れもなく素材であるミツマタの特徴であると言えます。滑らかだけどつるつるしすぎていない。ほどよい厚みがあるためしっかりとした質感も感じられる。
ミツマタは表彰状の原料としても使用される植物であるため、上質な触り心地が特徴的です。
高級感漂う見た目
加えて、ミツマタを使ったお札には高級感も感じられます。ミツマタを素材とする和紙には独特の光沢があり、この光沢感が上品な風合いを表現しています。
お札は“ただの紙”ではなく、“その金額相応の価値のある紙”です。紙幣には日本が誇る高度な製造技術がふんだんに盛り込まれているので、その技術に釣り合う素材として、ミツマタが選ばれているのです。
ミツマタを使った紙幣の製造プロセス
ミツマタを原料とする紙幣の製造工程は、以下の通りです。 ここでは詳細な製造過程は説明しませんが、興味のある方は国立印刷局が詳しい内容を出しているので、そちらをご覧ください。
- 原材料の用意
ミツマタを収穫し、原材料として使用する靭皮(じんぴ)をはぎ取ります。はぎ取った靭皮は乾燥させた状態で出荷されます。 - 製紙工程
材料を細かく刻んだり、水を使って解きほぐしたりして「紙料」を作成します。作成した紙料を使って製紙を行います。 - 材料行程
最新のコンピュータシステムと工芸官(デザインや彫刻の専門職員)による手作業を組み合わせ、高精度な版面やインキを作成します。 - 印刷工程
お札を印刷、断裁、封包(ふうほう)した上で、徹底した管理体制のもとで日本銀行に送られます。
※国立印刷局が解説しているのは製紙工程、材料行程、印刷工程の3つです。
和紙の三大原料の楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、みつまたについて
紙幣の原料であるミツマタは、紙幣だけでなく和紙自体の原料として広く活用されています。
一方、和紙の原料としてはミツマタの他に「楮(こうぞ)」と「雁皮(がんぴ)」と呼ばれる植物も有名で、ミツマタを含めた3つを和紙の三大原料と呼ぶこともあります。
ここでは、上記3つの和紙原料の特徴や違い、そして紙幣の原料としてミツマタが選ばれている理由などについて解説していきます。
楮、雁皮、ミツマタのそれぞれの特徴
楮、雁皮、ミツマタの違いは以下の通りです。
※詳しい違いや特徴は下記記事で解説しています。ぜひご覧ください。
楮の特徴
- クワ科
- 落葉低木
- 主な生産地:高知県、茨城県
- 和紙の色味: 少し黄味がかっている
- 和紙の特徴:厚手で表面はゴワゴワしている
雁皮
- ジンチョウゲ科
- 落葉低木
- 主な生産地:徳島県北地山(讃岐山)
- 和紙の色味:赤っぽいクリーム色
- 和紙の特徴:表面がつるつるしている
ミツマタの特徴
- ジンチョウゲ科
- 落葉低木
- 主な生産地:岡山県、高知県、徳島県、島根県
- 和紙の色味:薄オレンジ色
- 和紙の特徴:光沢があり滑らか
楮、雁皮、ミツマタの各使用用途
楮 | 書道用紙(半紙)、障子紙、版画用紙 |
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雁皮 | 日本画用紙、箔打ち紙、ふすま紙 |
ミツマタ | 紙幣、表彰状 |
日本産ミツマタと紙幣の今後について
2024年、日本の紙幣は改刷(デザインを新しくすること)されることが決まっており、原料であるミツマタの需要は一層高まることが考えられます。一方で、近年は国内のミツマタ生産地やミツマタを栽培する農家の数は過疎化の影響で大きく減少しており、紙幣に使用するミツマタの大半は海外から輸入されているという現状があります。
需要が尽きることがない紙幣である以上、海外からの供給量を増やさざるを得ない状況は仕方がない部分がありますが、古くから日本で栽培され、紙幣として活用されてきた国産のミツマタが少なくなってしまっているのは、少し残念に感じてしまいます。
ただ、国内の全てのミツマタ生産地が消滅してしまったわけではありません。今でもミツマタを活用し、地域や日本の文化を広めようと取り組まれているミツマタ農家さんはたくさんいらっしゃいます。
当サイトでは、ミツマタの枝部分をドライ加工したインテリア商品を販売しています。ミツマタ特有の美しい色合い、繊細な枝ぶりはドライフラワーの風合いとの相性が非常に良いです。ご興味がございましたら、ぜひ一度ご覧ください。
紙幣に使われるミツマタは、日本の貴重な資源です
今回は紙幣の原料として使われているミツマタに着目し、その特徴や魅力をご紹介していきました。
現在紙幣に使われているミツマタは海外から輸入したものが大半を占めていますが、依然としてミツマタは日本が誇る、大切な天然資源です。
最近ではミツマタは様々な形で活用されています。紙幣以外でも「こんなところでミツマタが使われているんだ!」と探してみるのも、面白いかもしれませんね。